便秘とは
便秘は、数日便通がないといった頻度で決まるものではなく、「本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」と日本消化器病学会関連研究会が発表した『慢性便秘症診療ガイドライン』で定義されています。満足いく排便ができない状態が便秘であり、強くいきまないと出ない・薬を飲まないと出ない・排便後もスッキリしないケースも便秘に含まれます。
便秘の症状
- お腹が張る
- 便が硬い
- お腹がすっきりしない
- 下剤の服用が増えている
- 肌の調子が悪い
便秘の原因
便秘を起こす原因というと食物繊維不足や運動不足が一般的によく知られています。それ以外にも、食習慣や生活習慣、腸の機能低下、大腸疾患、薬の副作用、環境の変化など、便秘の原因は様々です。特に注意が必要なのは、増加傾向にある大腸がんによる便秘です。早い段階で適切な治療を受けることが不可欠な大腸疾患で便秘が症状として現れるものは他にもあります。よくある症状だからと油断せず、消化器科の診療を受けるようにしてください。
機能性便秘
水分不足、食事内容、ストレス、運動不足
器質的便秘
大腸がんや炎症性腸疾患、肛門疾患
便秘の検査
丁寧な問診に加え、腹部の聴診と触診、腹部X線検査で状態を把握します。
その上で必要があれば、血液検査や大腸内視鏡検査によって確定診断します。
大腸内視鏡検査は大腸がんやポリープの有無、狭窄・閉塞の有無、腸管の長さなどを確認できます。病変がある場合にはその形状や色調、サイズなどを確認し、疑わしい組織を採取して生検ができるため、他の疾患がある場合の確定診断に有効です。当院では軽い鎮静剤を使用してウトウトしている間の検査も可能ですから、ご不安がある方も安心してご相談ください。
便秘の治療
生活習慣の改善
便秘は食生活や生活習慣の見直しによって症状改善につながりますし、再発を防ぐためにも役立ちます。当院では患者様が無理なく続けていけるよう、ライフスタイルなどを考慮しながら具体的なアドバイスをさしあげています。
薬物療法
単に便秘を解消させるだけでなく、適切な薬剤の処方によって腸の機能を正常に戻すためにも薬物療法は有効です。下剤だけでもさまざまな作用や効果を持つものがありますし、腸をコントロールする自律神経に作用するものや漢方なども選択できます。また、現在は新しい作用を持った薬剤が登場しているため、これまでより効果的な薬物療法が可能になるケースも増えています。当院では便秘のタイプ、症状、ライフスタイルなどにきめ細かく合わせた処方を行っており、再診時に効果の出方を確認した上で少しずつ調整して最適な処方にしています。